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[書籍紹介]システム障害はなぜ二度起きたか みずほ、12年の教訓

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サグラダ・ファミリア

皆さんはサグラダ・ファミリアをご存知だろうか。

観光名所にもなっている、スペインにバルセロナにある百年以上前から存在しており、ガウディという有名な建築家によって建てられている協会だ。(正確にはガウディは二代目だが)

建てられている。

この協会の凄いところは、お城のような美しい外観ではなく、まさに100年以上も前から今も建築中ということ

wikipedia - サグラダ・ファミリア

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%82%A2

ガウディが没した後も何人もの建築家に引き継がれ、今もなお建設中で2026年完成予定とのことだ。(2018年12月現在)

一つの建造物を長期間に渡って創るなど、なかなか他には無いのではだろうか。

ただ、IT業界もこのように長期間に渡って作られているシステムがある。

IT業界のサグラダ・ファミリア

それは、IT業界では一番有名な案件と言っても過言ではない、みずほ銀行の次期システム開発案件のことを指す。

次期システム開発案件は、遡ること2000年の富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行の三行の合併による、システム統合から始まっており、2018年現在も完全には統合出来てはおらず、ツギハギのシステムとなっている。

かくいう、私も勘定系、情報系システムでは無いが、一時期、次期システム案件に携わっていたことがある。


いつになったら完成するのか分からない、その様は百年以上前から着工しているにも関わらず、未だ完成しないサグラダ・ファミリアの名を引用して、

IT業界のサグラダ・ファミリア

と呼ばれている。

二度のシステム障害

今回は、一冊の本を紹介したいと思う。

タイトルは『システム障害はなぜ二度起きたか』

日経コンピューターから出版されている、みずほ銀行のシステム障害に関する事実をまとめたものだ。

本書では、『2000年の三行統合時のシステム障害』と『2013年3月の東日本大震災の義援金振込みの際に起こった障害』のことについて、多く述べられています。
ニュースを見ただけの人はきっとこう思ったことだろう。

「作りが悪い」

間違いなく、障害が起こったシステムを作ったのは各社ベンダー経由で来ているプログラマーやシステムエンジニアに間違いはないが、正直なところ、全ての責任は彼らに無い。


本書では一体誰のせいでこんなシステム障害を引き起こしたのか?

が、詳細に述べられています。

システムが障害を起こすのではない

システム障害が起こる原因はシステムの作りが悪いから障害が起こると思う人が大半だと思うが、必ずしもそうとは、限らない。

何故なら、システムとは決められた通りに実行するだけであり、その仕様を決めたのは他ならざる人であり、その人とは銀行の職員達である。
ニュースでは障害の起因となったサーバーのメーカーや、それを保守するベンダーの名前ばかりピックアップされていたが、実際は仕様を固めたり、ベンダー各社をまとめられなかったのは、みずほ銀行の関係者の責任だと思う。

本書では現場では実際に何が起こっていたのかが、詳細に語られている。

システムが障害を起こすのか?

人が障害を起こすのか?

エンジニアとして、色々考えさせられる一冊となっている。

実際に三回目は起こる?

正直な話、絶対何かが起こると思っていたが、2018年12月現在、今のところニュースになるような何かは起こっていない。

ただ、今も昔もベンダー任せの保守開発続けていることに変わりはなく、非効率な業務もルールも捨てられず、平成という時を終わろうとしているのは間違いない。

日本の複雑な業務が問題なのではなく、複雑な業務を変えられないと思い込んでいる人が、責任者という立場であるため、なかなか問題を解決出来ないのではと私は思う。

海外であれば、パッケージソフトを使い、パッケージソフトに基づいて組織改変などを柔軟に行うのだが、この国では一度雇用した社員は簡単に解雇出来ないことから、それは難しいのだ。

色んな、負の要素が混ざりあった結果、システム障害という形で現れているため、今回の次期システムで起こるかは分からないが、遠い未来、三回目のシステム障害は起こり得るだろうと思う。

本書は、エンジニアであれば一度は目を通して欲しい大事なことが書かれているので、一度手にとって見て欲しい。

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