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日報、週報、月報は必要なのか?

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新社会人、最初の難関

普通に企業に就職し、普通に教育を受けた人であれば、まず一番最初に立ちはだかる、とても大変な作業がありますよね。

『日報、週報、月報』

私もかつては会社員であったため、客先常駐とは言えど、これらを書いて報告していた時期がありました。また、役職者になってからは、逆にこれらを確認する側になりました。

確認される側の時は、何回も何回も書いても書いても指摘され、何度もやり取りが発生しました。

確認する側の時も、何回も何回も質問や指摘をして、何度もやり取りが発生しました。

今回はこれらが本当に必要かどうかを、確認される側、確認する側から解説していきたいと思います。

確認される側<報告者>

まず、確認される側、<報告者>としては、報告内容をきちんとまとめ上げ、<確認者>が理解できる内容にする必要があります。

社員教育であれば、
『単純に今日はテキストの〜ページから学習完了』
のように、報告すれば、確認者も分かりやすいですが、実際の仕事ではそうはいきません。

通常、WBSは複数のタスクまで細分化されており、一つひとつのタスクには必ず何らかの名称が付けられています。

 

Wikipedia - Work Breakdown Structure

https://ja.wikipedia.org/wiki/Work_Breakdown_Structure

例え、アジャイル開発であろうと、作業内容をタスク化までさせてから作業を進めるはずなので、今自分が何の作業を行っているか全く分からないということは無いです。

Wikipedia - アジャイルソフトウェア開発

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%8B%E7%99%BA

基本的には、そのタスク一つひとつの予定と実績の報告を行えば、良いはずです。ここで問題となるのが、予定を見積もったのは誰か? 自分自身が予定を見積もって、その結果実績がズレたのであれば、

『何がいけなかったのだろうか』
『予想以上に〜が難しかった』

など、試行錯誤した結果を差異理由として報告すれば良いですが、他者が作成した予定通りとなっていない場合、

『報告者に問題がある』
『WBSを作成した人に問題がある』
『作業指示者に問題がある』

など、複数のパターンが考えられます。

『日報、週報、月報』を書いている作業者はまず、これらの問題の切り分けが出来る人では無いと、私は考えます。

特に、ITの業界のように、客先常駐で自社の先輩の目が届かないところにいる報告者の場合、ヒアリングを行わないと、原因が分からないでしょう。

なので、

「何で、進捗が遅れているの?」
「何で、残業が多いの?」

と聞かれても、正確な答えを導き出すのは困難でしょう。

これらを正確に答えられる人は、そもそも『日報、週報、月報』は必要無いです。

何故なら、『日報、週報、月報』で、きちんと報告出来る人は、問題があった時点で報告してくるからです。

確認する側<確認者>

続いて、確認する側、<確認者>ですが、ここで<確認者>が最も注目したい点は先の確認される側にも記載した『予定と実績』でしょう。

『予定と実績』によって、ある程度の<報告者>の作業感が分かるからです。予定通りであれば、問題無しと、みなすでしょう。

しかし、ここには2つの落とし穴があります。

1つ目は、『見せ掛けの予定と実績』です。

<報告者>は、まだ上司の管理が必要な社員です。

彼らは上司から叱責を受けることよりも、褒められたいと考えるのが普通です。

なので、何とか進捗通りに見せ掛けるように、工夫をしてきます。

一番分かりやすいのが、残業です。

WBSはあくまでも、定時内で終わるように作成するのが大前提です。進捗が遅れそうになった場合は、メンバーはリーダーに報告をし、リーダーは全体スケジュールが遅れないように要員を調整し、WBSを修正します。

ただし、メンバー自身またはリーダーがそのような意識が無い場合は、無理なWBSのまま進行してゆくため、どうしてもメンバーの残業が発生します。

本来であれば、1日8時間で終わる作業を残業して12時間で終わらせたとしても、それは予定通りではありません。

日報で報告される内容に勤務時間が記載されているのであれば、まだ<確認者>はそのことに気付けるかもしれませんが、そうではない場合、月末処理などの勤務表で初めてその実態に気付くことになるでしょう。

2つ目は『<報告者>自身が抱える問題』です。

会社には様々な事情を抱えた社員がいます。

私が見てきた中でも、家族の問題、社員同士の問題、職場のストレス、病気など、様々な悩みを抱える社員がいました。

人は、誰だって自分の弱みは見せたくありません。

首を切られるかもしれない会社相手であれば尚更のこと。

そうした場合、<報告者>はどうするかというと、ひたすら我慢します。
ただし、我慢も有限です。我慢はやがて限界を超えると心身を蝕んでいきます。どうしようもなくなった時は既に時遅し、というのがよくあるケースです。

結局、必要なのか?

答えは必要無いです。

何故なら、予定と実績を確認したいだけであれば、WBSを見れば分かりますし、例え、客先常駐で別々の職場になったとしても、仕事上に何か問題があれば、営業経由で連絡が入るはずだからです。

また、『<報告者>自身が抱える問題』を拾うにしても、『日報、週報、月報』では遅すぎるのです。問題があった時点で報告が無いと、間違いなく一時対応に遅れが出てしまい、取り返しの付かないケースになっていることが多々あります。

また、私が一番、問題視することは、<報告者><確認者>共に、『日報、週報、月報』に時間を取られるため、コミュニケーションコストが非常に高い割にはリターンが少ないことです。

通常、これらのやりとりはメールで行われるのが一般的ですが、メールというツール自体が既に時代遅れであり、本当に問題点の洗い出しを行いたいのであれば、リアルタイムに行わなければ無意味です。

じゃあ、どうするのか?

先にも述べたように、リアルタイムにコミュニケーションを取る手段が必要になってきます。

少し前であれば、スマートフォンも一般に広まっておらず、便利なツールも無い時代でしたが、今はそうではありません。

SlackやFacebookメッセンジャー、LINEなどリアルタイムでやり取りを行う手段はいくらでもあります。

これらを導入せずにメールやSMSなど、古のツールに頼る経営者達はハッキリ言ってただの怠慢です。

上記のツールや新しい仕組みなどを利用して、常日頃からコミュニケーションを取り合う他無いと私は考えます。

また、人によっては異なる方法を利用してコミュニケーションを取るなど、試行錯誤する力こそ<確認者>に求められているのではないでしょうか。

社員は会社の道具ではなく、命があり意思があり、時に悩み苦しむ人です。

いつまでも、形骸化されたルールを守るのではなく、何故、今それが必要なのか? を考えなければならない時代になっているのではないでしょうか。

 

社員同士のコミュニケーション方法で悩んでいる方は気軽にお問い合わせページから、相談下さい。

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