もくじ
会社員やめるってよ!
IT業界に関わって10年目の節目に私は会社員を辞めました。
SES企業、いわゆる準委任契約を生業とし、社員を客先に派遣する自称IT企業の悪行は何となくソーシャルメディアによって、一般にも広まってきている気がします。
案件を自分で選べないことにより、スキルが身に付かなかったり、キャリアの方向性が定まらないなどといった話はよく聞く話ではないでしょうか。
「SES企業に勤めるなんて止めておけ。」
そういう、私自身も元SES企業の正社員でした。
スキルが身に付かない!
SES企業について、スキルが身に付かない危険性は周知の事実ですが、それ以上に私が危険だと感じたことを、実体験を踏まえて紹介していきます。
私が新卒で入社した会社は紛れもなくSES企業でした。当時はリーマンショックであったこともあり、入社してすぐに社内待機状態となりました。
既にSES企業のお勤めの方ならご存じですが、殆どのSES企業の本社というものは、大概、総務などの事務作業を行う社員以外は常駐していない、そのままの意味のただの事務所であることが多いです。
私が所属していた会社も例に漏れず、事務所には私を含む新入社員四名と営業を兼任している社長と総務の方しかおりませんでした。そんな環境であったため、社員教育なんてものは全く受けたことがありませんでした。
事務所に出勤してやることと言えば、テキストを使った自習と国から社員教育の助成金を貰うための偽装資料の作成だけでした。(サラッと凄いことを述べてますが、本筋と関係無いので割愛します)
そして、入社して9カ月経つ頃には新入社員は私一人になっていました。当然、そんな状況下であれば普通は会社を辞めますが、単身で北海道から上京してきた私は辞めたら家賃すら払えなくなってしまう恐怖に怯え、ひたすら我慢していました。
11カ月目になった頃、人生初めての仕事がやってきました。
ただ、それはプログラマーとしての仕事ではありませんでした。
客先で一人で常駐して段ボールと書類の整理と手書きで書類のデータ入力を行う、パソコンすら使わない謎のお仕事でした。他にも、パソコンを使うものの、ただのデータ入力だったり、総務のお仕事だったり、客先で雑務ばかり行い、さらには多重派遣状態であったため、自社の名前も出せず自分は一体何者なんだ? といった状態でした。
お金がないっ!
二年目も半分過ぎた頃、さすがに焦りを覚え、仕事の合間合間で転職活動を行い、晴れて開発企業に転職しました。(一社目も表向きはそうなのですが)と言っても、もちろん多重派遣の偽装請負で客先常駐でしたが、この時は仕事でプログラミングを行えることが嬉しくて仕方ありませんでした。またもや一人客先常駐で頼れる人間もおらず、残業まみれであるものの、何とか、この経験がいずれ自分の血肉となると信じて頑張りました。
しかし、転職をして一年を過ぎた頃、深刻な問題が発生しました、
お金が無い。
当時はあまり詳しく無かったため、分からなかったですが、二社目は裁量労働制を悪用した会社であり、色々理由を付けて残業代は一切支給してくれませんでした。(一社目も残業代はありませんでしたが)
とりあえず、いくら働いても家賃で全てお金が消えてゆき、毎日三食は食べられない程の極貧生活を送っていました。
さすがに生命の危機を感じ、再び転職しました。
体力がないっ!
二回目の転職後も基本的に一人客先常駐でしたが、気付けば私は中間管理職になっていました。
順風満帆と思いきや、あるとき次々に管理職やベテランが辞めてしまう出来事があり、会社の収益が大幅に落ち込みました。社長は兎に角、手足があって客先に派遣することができる人材が欲しく、未経験中途を大量に採用しました。
そして、一人客先常駐している現場から無理矢理私を引き抜き、未経験の新人達を付けて客先に派遣しました。言うまでもなく無く、それからは本当に地獄でした。
20代の頃より、体力的にも精神的にも耐えられるような状況ではなく、暴力に屈して私は3社目も辞めてしまいました。
やがて、三回目の転職を行ったあとも、同じような状況があった上、給料も激減して生活困難なこともあり、僅か9カ月で退職して今に至ります。
もう、SES企業なんて勤めたくないですね。
結局、スキルが身に付かないだけ?
ここまで読んで、結局、SES企業はスキルが身に付かなかったり、大変だったり、他の人と言っているなんじゃないと思ったかと思います。
ただ一つ、他の体験談とは決定的に違うことがあります。
私は10年間上司と働いたことはありません。
新卒で一人客先常駐する危険性
それが、何を意味するかというと、社会人としてのマナーや常識が全く身に付いていませんでした。飲み会のマナーとかメールのマナーとかは正直どうでもいいです。マナーや常識は不変なものではなく、時代と共に変わってゆくものなので、スピード感が大事になってきたビジネスの世界では、これからは無駄なマナーや常識は変わってゆくでしょう。
ただ、時代が変わっても不変なマナーや常識もあります。
ここではあえて不変なマナーや常識が何を指すのかはここでは述べませんが、新卒から誰からも何も指摘やフィードバックを受けずに生きるというのは、とてもリスクが高いです。
何故、私がそのことに気付けたかというと、2018年11月現在、一般企業でSEとして働いていることが大きかったです。フリーランスの基盤を作るための練習というところでしょうか。今は楽しい上に給料も二倍近く増えて毎日定時で満足です。
ただ、私は普通の企業というものを経験していないことと、上司、先輩と一緒仕事をしたことも無かったため、一般企業で新入社員に対して指導を行ってたり、フォローしていたりする姿を見て、初めて自分は今まで名ばかり正社員であったということに気付きました。
私自身、今まで多くの失敗やそれに対する自分自身のフォローをしていたつもりですが、人に言われないと気付かないということは多々あります。
何せ、一度たりとも誰も注意してくれないのですから。それくらい気付けよと思われても、何故それが悪いのか分からないのです。そもそも、
他社の人間である私のことなど、気に掛ける人はいませんから。
少なくとも、私は一般的な日本人の社会人としての感性は持ち合わせていないと思っています。(それはそれで自由な生き方かもしれません)
あえて、もう一度言います。
「SES企業に勤めるなんて止めておけ。」